設立趣旨書

 私たち演劇百貨店はワークショップの活動を通して、子どもたちに自己表現、コミュニケーション、創造の喜びを分かち合える場を提供したいと考えています。

 これまで私たちは、演劇を中心とする芸術表現の現場でおのおの活動をする一方、劇場や学校、児童館などの現場において、ワークショップ型の事業を行ってきました。 そしてそれらの活動において、双方向型・参加型の舞台芸術活動が、とりわけ対人関係の苦手な子どもたちをときほぐしてゆく過程に立ち会いました。

 いま教育の現場でも地域社会の中でも自分の意見をうまく主張できない、他の人のことを思いやれない、他人に迎合してしまうなど子どものコミュニケーションの在り方が問題になっています。 子どもだけではありません。 コミュニケーションの希薄さがコミュニティを衰退させ、コミュニティの衰退が子どものコミュニケーションを困難にすると言う悪循環が起きています。

 私たちはワークショップなどを通じて、現在を生きる子どもにとって演劇という身体を通した表現活動こそ必要なのではないかと考えるに至りました。 演劇という表現は人と人との間に起る出来事を見つめると同時に人と人との間に出来事を起こす芸術だと考えるからです。 複雑に絡み合った問題を解決するには、その一つ一つを解きほぐす作業から始めなければなりません。 それぞれの出来事の中の何が問題となり、さまざまな課題にどう対処していけばいいのか。 参加型舞台芸術活動(ワークショップ)は、コミュニケーションについて考える手法と問題を解決する糸口を与えてくれるのではないかと思います。

 必要なのは、安心して自分の思いを表現すること。 また、他の人の身体や言葉が何を伝えようとしているのかを、しっかり感受できるようになること。 双方の自己表現とそれを受け止める行為があって成り立つコミュニケーションを基礎としてコミュニティが出来上がっていく。 参加型舞台芸術活動(ワークショップ)は、コミュニケーションを実現し、コミュニティを創造する場なのです。

 私たちはコミュニケーションに支えられた自己表現や自己表現を形にしていく創造の場を作っていくと同時に、そういった場を広げていくための人材育成を行うために、特定非営利活動法人演劇百貨店を設立いたします。

平成14年8月15日
特定非営利活動法人演劇百貨店
代表 柏木 陽