演劇百貨店の研究会

 「演劇百貨店」では、ワークショップの実践に役立つ研究会を定期的に開催しています。 現在は、子どもたちとのワークショップを終えた後に、関連書をテキストに学ぶといったプログラムになっています。

 単純に「演劇ワークショップ」といっても、その理論的基盤などは、多岐の分野に渡り、簡単な解釈が難しいのが現状です。 演劇教育関連書から、教育、コミュニケーション、心理などさまざまな視角からワークショップに光を当て、考えていく試みにしていきたいと思っています。

 なお、参加を希望される方は、メールで事前にお問い合わせください。

第1回 02/12/27 @世田谷パブリックシアター

■ドラマによる表現教育
ブライアン・ウェイ著/玉川大学出版部/1977

■学ぶことを学ぶ
里見実/太郎次郎社/2001

■プレイセラピー―こどもの病院&教育環境
野村みどり・編/建築技術/1998

 第1回の研究会では、3つのテキストを元に、研究会の方向性を模索する内容となりました。

 「ドラマによる表現教育」では、いまや古典となった演劇教育の教科書をもとに、イギリスのブライアン・ウェイの考え方を学びました。

発表者からは、最終的な本書の着地点が「啓蒙」というところにある点が興味深いという意見が出されました。 南米の識字教育に利用されるなど、日本語の「表現」という範囲から別の目的に向かうワークショップが世界では多く存在する、という話になりました。 イギリスにおける民族紛争などの問題も積極的に演劇教育の中に取り入れ、社会を改革するブライアン・ウェイの視点は、私たちが作ろうとしている演劇ワークショップとは違うものかもしれません。 しかし、演劇教育の理論書としては大いに参考になるものでした。

 また「学ぶことを学ぶ」というテキストでは、ラディカルな教育学者として知られる国学院大学教授の里見実の教育論を検討しました。

 「プレイセラピー」では、スウェーデンの小児科病棟の実態が発表され、子どもの環境が法律によって整備され、大きな成果をあげていることが指摘されました。
その後話題は、日本における子どもについての各種法整備にまで及びました。

第2回 02/1/26 @世田谷パブリックシアター

■子供のための劇教育
ジェラルディン・シックス著/玉川大学出版部/1978

 2回目は、引き続き演劇教育の盛んな玉川大学から出された「子供のための劇教育」が議論の俎上に乗りました。

 同書の第2部をめぐって、意見が噴出しました。 子どものこころをめぐって、私たちが取り組んでいる点というのが、この表現教育の研究書から、あまりにも抜け落ちているのではないか、という意見です。 たしかに該当部分からは、機能性を重視した身体へのまなざしがあります。

 しかし、これらの内容を踏まえ、さらに目指すべき「表現」の方向へ向かっていくことが大切なのではないか。 その礎石になるべく、基礎的な概念をならべたこの本の有用性は、出版後20年あまりを経ても、なお衰えないだけのものがあるのではないか、という結論に到りました。

第3回

■<からだ>の情景──子供と身体表現をめぐって
如月小春著(「越境する知(1)身体:よみがえる」=栗原彬・小森陽一・佐藤学・吉見俊哉・編/東京大学出版会/00年=に所収)